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Fukurum(フクラム)

【福島県立白河実業高等学校塙校舎】取材活動および試作品の製作を行いました

10月3日(火)、矢祭町のマップ製作の参考にするため、鮫川村役場で取材活動を行いました。昨年の11月、機械科の生徒が「総合的な探究の時間」の授業で鮫川村の探究を行い、鮫川村マップを入手します。それをみた矢祭町の生徒が「鮫川村マップを参考に矢祭町のマップを作りたい!」と発案し、ふくしまの未来を創るFukurum基金からの助成を得て、今回の活動が始まりました。

今回、鮫川村マップを製作した緑川さんと藤田さんにお話を伺いました。
緑川さんは「県外の方に鮫川村の場所をわかりやすく伝えるために、このマップ(写真参照・裏面省略)を製作しました。こだわった点は、文字をすべて手書きにすること、写真を使わずイラストで名所の紹介をすること、全体的にカラフルな色づかいにすること、などです。初稿を出してもらったあと、何度も手直しをして、ようやく完成しました」と話していました。

生徒たちは、この地図を参考に矢祭町の地図を製作します。現在、株式会社日進堂印刷所の担当の方と打ち合わせを行っています。矢祭町のどの名所を紹介するか、おすすめコースをどうするかなど、今後、具体的に考えてゆきます。

10月18日(水)、矢祭町産無農薬ラズベリーを使用した菓子製作の助言を得るため、取材活動を行いました。取材先は、東京・港区赤坂の虎屋文庫と、港区南麻布のフランス大使館です。
フランス大使館総料理長のセバスチャン=マルタン氏は、矢祭町のラズベリーを使用しフランスの伝統菓子「ガトー・ナンテ」を製作・販売しました。ガトー・ナンテは、マルタン氏の故郷である港町ナントで1820年に作られ始めた焼き菓子です。フランス出身のマルタン氏が、なぜ、矢祭町のラズベリーでガトー・ナンテを製作したのか、その経緯を伺うことにしました。
また、フランスだけでなく日本の伝統菓子も製作できないかと考え、ガトー・ナンテが製作された1820年ごろに日本で作られていた和菓子についても調べることにしました。

18日は、まず、室町時代後期に創業、後陽成天皇(在位1586~1611)の時代から御所御用をつとめたという和菓子店「虎屋」を訪問。生徒たちは、菓子資料室「虎屋文庫」の主席研究員の中山圭子さんから、和菓子の歴史や江戸時代の製法などについてお聞きしました。

江戸時代後期には砂糖の国産化が進み、和菓子のバリエーションが豊富になり、庶民の間にも大福や金つば、どら焼きなどの菓子を食べる楽しみが広まったそうです。虎屋文庫には1824(文政7)年に作られた菓子の見本帳(現在の商品カタログのようなもの)「新製御菓子繪圖(しんせいおかしのえず)」が残っており、その中の絵をもとに2024年のカレンダー(写真参照)が作られたことなどを伺いました。虎屋で販売している上生菓子の栗粉餅の栗は、宮崎県や茨城県など、その時々の旬の場所から原料を仕入れるため、時期によって使用される栗の産地が異なるといいます。工業高校生である生徒たちは、和菓子職人さんの技術の話を、特に熱心に聞き入っていました。

最後に、とらや赤坂店地下1階で開催されていた「和菓子の〈はじめて〉物語」展を見学させていただき、取材は終了となりました。ものづくりへの情熱あふれるお話をたくさん伺うことができ、今後の活動の糧になる貴重な経験をさせていただきました。

 

18日の午後は、フランス大使館を訪れました。生徒たちは、一般社団法人ニワトコ代表の矢崎潤子さんや矢祭町地域おこし協力隊パティシエの酒井智美さんとともに、フランス大使館総料理長セバスチャン・マルタンさんにお話を伺いました。

マルタンさんは「日本のさまざまなフルーツを使ってフランス菓子の魅力を伝えたいと考えていました。そんな時、矢祭町の無農薬ラズベリーに出会い、ガトー・ナンテを作ることにしたのです」と語りました。

フランス・ブルターニュ地方の港町ナントで菓子店とパン屋を経営する両親のもとで育ったマルタンさんは、幼いころから両親の作ったお菓子を食べていたそうです。そこで、日本でもフランスのバターやおいしい卵を使ってガトー・ナンテを作ってみようと思い立ちます。生徒たちはマルタンさんがHPで「日本の人たちにガトー・ナンテというフランスの伝統菓子を知ってほしい」と発信していることを知り、ふくしまの未来を創るFukurum基金の助成を得てガトー・ナンテを試作しました。この日、白河実業高等学校塙校舎で企画・商品化を目指すガトー・ナンテの試作品をフランス大使館に持参し、マルタンさんに召し上がっていただきました。

マルタンさんは「しっかりラズベリーの味がする。おいしいよ」と話し、ラム酒の配合など本場フランスのガトー・ナンテの作り方について具体的にアドバイスをしてくださいました。
とても気さくに取材に応じてくださったマルタンさん。生徒たちは、矢祭町産無農薬ラズベリーと、矢祭町の益子厚子さんが作ったカラフルなトマトを持参し、矢祭町の産品のPRも行いました。

生徒たちは、今後、マルタンさんのアドバイスをもとに新たな試作品を作ってゆきます。
ラズベリーは、摘みたての生の状態では甘みが強く、冷凍したりミキサーで液体状にしたりすると酸味が増します。現在、ハイテクプラザ会津若松技術支援センターや福島県農業総合センターの方々に依頼し、成分分析などを行っていただいています。

矢祭町産無農薬ラズベリーで作るガトー・ナンテの完成品は、2024年1月10日(水)~12日(金)にJR東日本の品川駅構内で行われる矢祭町物産展で販売する予定です。矢祭町マップの製作が間に合えば、その時に配布も行います。

どうすれば、よりおいしいガトー・ナンテを作ることができるのか。どうすれば、矢祭町産無農薬ラズベリーをより多くの人たちにPRできるのか。

フランスや日本の歴史や文化も学び、和菓子製作なども視野に入れ、工業高校生としての強みも生かし、地域の方々と関わりながら、これからも探究活動を続けていきます。
(以上、同校の濱田教諭のレポート)

(写真は「矢祭町産無農薬ラズベリーのガトー・ナンテ」の試作品。木の台は機械科の課題研究で生徒が製作中の「鮫川村・鹿角平キャンプ場に設置予定の木のベンチ」の一部を使用)。

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